2015 年夏

TPRC:熱可塑性プラスチックのエキスパート

エンスヘーデの ThermoPlastic 複合材研究センター(TPRC)は、2007 年に TenCate と航空機メーカーのボーイング社、Fokker Technologies(航空機部品メーカー)、Twente 大学とのパートナーシップの結果生まれました。 TPRC は、航空産業向けの熱可塑性複合材を第 1 の専門とし、輸送、産業、エネルギー、医療などのハイグレード用途を第 2 の専門としている、オープンイノベーションセンターです。 

より軽く、コスト効率がよく、環境にやさしい素材を顧客が求めていることから、熱可塑性複合材とその潜在的用途への関心は着実に増えています。 これらの複合材は軽く、丈夫で堅く、持続可能性とリサイクル性を備えています。 燃費は、航空価格の大きな要因です。 ボーイング社は、熱可塑性複合材技術の開発を加速し、熱可塑性複合材製品の生産を速く、より効率的にできるよう目指しています。 このためには、バリューチェーンが成長し、成熟することが求められるでしょう。
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Harald Heerink 氏(左)と Bert Rietman 氏
 

「獲得した詳細な情報とさまざまな製品の製造過程で提供してきたサポートの結果として、他の会社が当社に問い合わせてきてくれるようになりました」と、Harald Heerink 本部長兼ビジネス開発担当 Bert Rietman 氏は言います。 「重要なのは、プロセスを理解して、われわれのポジションを強化することです。 そして、これは反響を呼ぶことでしょう。 熱可塑性プラスチックの世界はまだ小さいですが、われわれはより多くの顧客を惹きつけてきました。 オランダは、特に TenCate を通じて、そして TenCate Cetex® をブランド化してマーケティングすることにより、熱可塑性プラスチックで大きな役割を果たしています」 

自動車  

TPRC の専門領域には、自動車産業もあります。 繊維強化熱硬化性複合材は、すでに高価格帯の車や F1 レーシングカーで使われていますが、その生産量はまだ僅かです。 しかしながら、この素材は大量生産にはあまり向いていません。 「自動車業界は、熱可塑性複合材の使用量を、理論上はもっと速く拡大できます。 この理由は、その要件が例えば、疲労、クリープ、劣化などの長期間の動作の知識に関して言えば、あまり厳しくないからです」 3 年ほど前、Harald Heerink や Bert Rietman と他のメンバーたちが TPRC メンバーへの報酬のためにしていたのは技術ロードマップ研究だけでした。彼らはいまでは両側性プロジェクトにも取り組んでいますが、それは主として自動車市場のためです。 これはウィンウィン状況のように見えます。 「航空宇宙にとってのメリットは、自動車業界のためにもなります。 すべての車部品が熱可塑性複合材で造られると、総重量が軽くなり、コストが安くなります」 最近、大きな一歩が踏み出されました。変換プロセスのモデルが日々進化しているので、褶曲変形を予測して最終製品のエラーを回避できます。 褶曲とは、弱い点です。 褶曲フリーの製品を設計・製造する方法のひとつが、線維層をモールドに、相互に所定の角度で埋め込むことです。
 

開発から学ぶ
ボーイング社は自動車業界への切り替えを歓迎したと、Harald Heerink 氏は言います。 「その理由は、ボリュームが大きくなると、価格を下げることができるからです。 自動車産業のすべての OEM が軽量化を必要としていますが、それはヨーロッパのエミッション要求がベースになっています。 低重量はエミッション低下を実現するひとつの方法ですが、それは駆動システムや空気力学のようなものです。 素材の話になると、さまざまな選択肢があります。 熱可塑性プラスチックは比較的新しいため、この新しいテクノロジに関してはまだ若干のためらいがあります。 われわれは熱可塑性プラスチックが大躍進を遂げると期待していますが、それでも高張力鋼のような素材と共存し続けることでしょう。 航空宇宙産業には、自動車産業のオートメーション、生産工程、オーバーモールドなどの発達から学べることがあります。 これは射出成形と組み合わせた熱可塑性プラスチックの成形で、仕上げと機能性を高めるためのものです。 しかし私たちが自動車業界に専念することが、核となる研究プログラムから踏み外すことになってはなりません。 私たちはモメンタムを維持し続けなければなりません - われわれの成功の基盤なのですから。 それは、私たちが自動車パートナー(ティア 1 や素材メーカーなど)を TPRC に組み入れて、バリューチェーンと調和させようとしている理由でもあるのです。 しかし、自動車業界はまだそこまでは進んでいません」

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Evan Vruggink
TPRC はすでに結果を出しました。知識の増大と軽量のカーシートで、どちらも間違いなく「クリティカルなパーツ」です。 特に二重曲率が、カーシートでも難しいと、彼らは説明します。 繊維をモールドのあちこちへ埋め込むことにより、褶曲なく、予測可能な特性で製造できます。 私たちはこのプロセスを最適化し続けているのであり、そこから道が開けるのです。 当社の顧客は、このシートを OEM に供給しています。 シートは 90 秒でできます。これは、伝統的な工程で進めている私たちの世界では非常に画期的なことです」

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